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[Review]サブマリン(Submarine)

Posted on: 19/08/2011

監督 : リチャード・アヨエイド

出演 : クレイグ・ロバーツ、ヤスミン・ペイジ、サリー・ホーキンス

総合評価 : ★★★★ 4.0/5

 

 

 
イギリス映画「Submarine」です。本国UKでは今年の3月に公開されており、アメリカでも6月から限定公開されていた模様。前からすごく気になっていた作品だったので、UK盤DVDで鑑賞しました。
監督はリチャード・アヨエイドという方で、UKではコメディ俳優として活躍する傍ら、ミュージック・ビデオの監督なども手がける多彩な方みたいですね。後述しますが今回この映画のサントラを手がけたアレックス・ターナーのバンド、Arctic MonkeysのMVやライブDVDの監督も努めているようです。今作が長編映画としては初監督作品でありながらも高い評価を得たことから、次回作はソーシャル・ネットワークのジェシー・アイゼンバーグを主演に迎えたドストエフスキーの「二重人格」の監督を務めることが決まっているようで、こちらも楽しみです。

 
で、この作品。評判が上々なのも納得の面白さでした。監督もコメディアンだし、プロデューサーはあのベン・スティラーなので確かに全体的にコメディタッチな作風ではあるんですが、それだけではなく10代独特の甘酸っぱい青春ドラマ要素もうまい具合に取り入れられていて、非常にさわやかな後味の残る良作です。イギリスらしいブラックジョークも随所で効いています。
何よりも主役のオリバー・テイト役であるクレイグ・ロバーツの演技がもう素晴らしいです。なんていうか、クラスでいじめられる程じゃないんだけど、でも確実に浮いてるみたいな微妙な立ち位置を演じるのがほんとうますぎておもしろい。彼は妄想癖があるんだけど、その内容がばかなんじゃないの?ってくらいポジティブなのもいい。彼が惹かれる女の子ジョルダナも変わり者。いろいろあってジョルダナとつきあえることになるオリバーくんですが、やることなすことだいたい空回りします。親の留守を狙ってだいじな初体験のためにせっせと準備するも、あまりの用意周到さに「あんたシリアルキラーみたい」とか言われちゃいます。
オリバーくんの不安の種は彼女とのことだけではありません。家の隣に引っ越してきたヒッピー野郎がなんと母親の元カレらしく、父親を置いて二人で出かけちゃったりしちゃうもんだからさあ大変。オリバーくんの両親も、この親にしてこの子ありと思わせるくらい変な人で笑っちゃいます。ちなみにお父さんは海洋学者です。
わたしがこの映画でいちばん良かったなあと思うのは、彼女と家族のどちらを取るかという決断のシーンですね。文字通り板挟みになるシーンがあるんですけど、その時のオリバーくんの表情が本当に素晴らしくて、なんか泣けてしまった。クレイグ・ロバーツはもしかしたらすごい俳優かもしれない。ちなみに特典映像のインタビューの中では、「オリバーと僕?全然似てないね」と言いながらシニカルな笑顔を見せており、劇中とはうってかわってクールな感じだったのにもびっくりしました。

 
アメリカのコメディほど「やりすぎない」感じがすごく世界観をリアルにしていて、見ていて引き込まれます。そしてその物語を彩る音楽がとっても素敵。曲は全て前述したようにArctic Monkeysのフロントマン、アレックス・ターナーが手がけていて、アコースティック・ギターがメインのスローな曲調とちょっと捻くれた歌詞が劇中のオリバーの心境と見事にマッチしています。サントラはアレックス・ターナーのソロ名義で発売されており、日本盤も出ているみたいですね。わたしは正直アクモンの新譜よりもよかったとおもうよ。笑

 
というわけで正当派青春映画として非常に満足度の高い作品だったのですが、未だに日本公開については全く決まってないのが残念でなりません。サントラは!出てるのに!もう!DVDだけでも出てくれないかなあ…。
(追記)2011年東京国際映画祭での公開が決定したようです!観に行けたら行く予定。これを機にミニシアターでの公開とか日本版DVDとか出せばいいと思うのよね。

 

 

 

トレーラー。超早口。英語字幕追うのに必死で何回一時停止したことか。英語力ほしい。

 
 

サントラです。6曲入り。


Submarine (Original Songs)

 
 
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